日本の水道水は世界一安全です。これは誇張ではありません。世界中のほとんどの水道水は、そのまま飲むとまず下痢をします。なんとか飲めるのは、欧州・北米の一部とシンガポールぐらいでしょう。それ以外の地域では、大腸菌などの病原菌に汚染されていたり、砥素やカドミウムなどの有害物質を含んでいたりします。

その点、日本の水道水は塩素消毒などの管理が徹底されており、水道水の元となる原水も有害物質の少ないきれいな水なので、安心して飲むことができます。

日本でも、これまで問題がなかったわけではありません。経済が発展し生活が豊かになるにつれて、水道原水に工業排水や生活排水が入り込むようになって、水道水の質が落ちてきました。70年代には工業溶剤や界面活性剤が問題になり、80年代には発癌物質であるトリ八日メタンが問題になりました。 90年代には塩素で殺菌できない菌や水道配管の鉛の問題も浮上してきました。

その都度、行政も水質基準をつくって技術を尽くして水質を確保してきました。その成果として世界一安全な水道水があるのです。 

水道局や保健所など公的な機関の名前を編リ、「水質を検査します」とか「部品を交換することになっています」などと言って上がりこみ、浄水器類を販売する手日です。

水道局や保健所は、浄水器など物品の販売は絶対にしません。公的な機関の係員を名乗った場合、所属部署などを聞いて確認してから対応したほうがいいでしょう。

家庭用の浄水器類は、真珠入りや漆塗りなどの超高級品は別にして、数十万円もするものではありません。かといって、まったく手の届かないものでもない、その微妙な値段設定で、消費者につけこむようです。「健康や安全のためだから、少しくらい高いほうが安心できるのでは」と思いがちですが、「よいものは高い」ということと、「高いものはよい」ということはイコールではありません。

消費者をだますいろいろな手法は、わかる人がいないから使われるのです。セールスの言葉を鵜呑みにしないで、表示などをきちんと読みとり、わからない場合は国や自治体の相談窓口などに聞いたりしながら、判断していただければと思います。

特許を取得しているとか申請中などと言われると、画期的な商品のように感じてしまいます。でも、日本だけでも毎年数十万件の特許・実用新案の申請があり、特許になるのはそのうち数万作です。そして、特許を取得したからといっても、本当に画期的なものはごくー部です。たいしたことのないものはけっしてめずらしくありません。

公正取引委員会に宣伝のインチキを指摘されて、証明資料として提出した取得特許が、科学技術や効果効能の証明と認められなかったこともあります。また、浄水器の中枢技術とは関係のない特許の場合もあります。

「特許出願中」は、出願ナンバーはつきますが、たんに申請しているだけです。また、実用新案は無審査でそのまま登録されます。

特許は、申請中でも、番号がわかれば特許庁の閲覧室や、インターネットの「特許電子図書館」で内容を見ることができます。 

「○○教授が認めた」とか「○○病院で採用」などと書いてあると信用してしまいますが、それが偽りのことも少なくありません。

その教授には試験を依頼しただけなのに、「教授が認めた」と宣伝に使っていることかありました。また、有名大学や大会社にお試し設置しただけで、そこで採用されているとされたこともあります。 

最初に消費者の血液のトロトロ具合を測っておきます。売り込みの水をコヽンブ1杯程度飲ませ、約30分後に再度、測定すると、血液がサラサラになっています。自分の血がサラサラになったのを見て、消費者がつい商品を買う気になる、という手口です。

じつは、その売り込みの水でなくても、水を飲みさえすれば血液はサラサラになります。

血液は、赤血球などの血球成分と、液体である血漿成分からできています。水を飲むと、20分もしないうちに吸収されます。血漿の水分も増えるため、血液の粘度(ドロドロ具合)が下がり、血液がサラサラになります。

つまり水道水でもお茶でも、水分さえとれば、健康な人はサラサラ状態になるのです。あたりまえのことを売り込みの水の効果だとするトリックです。ですから、ほかの水との比較を避けています。試験方法を指定すればそのとおりに試験し、報告します。試験結果が悪いものでも報告書は存在します。しかし、結果についていいか悪いか判断したり、認証したりすることはありません。

ですから、パンフレットなどにセンターの名前が載っていても、ある種の試験を行ったというだけで、必要なすぺての試験を行ったわけでもなく、その浄水器を認めたわけでもありません。

また、「NSF」というのは、アメリカの民間の試験機関です。センターと同様に依頼された試験を行いますが、NSFは認証もします。浄水器に関しては、米国の浄水器規格に則った基準をクリアしていれば、認証料を払うことで認証されるのです。しかも、多数ある規格基準項目のなかの一つをクリアするだけ認証されます。たとえば塩素除去だけでもいいのです。ですから、NSFの認証があるからといって、その浄水器の性能が高いとはかぎりません。 

水は、H20分子が単分子で存在しているのではなく、H2O分子がブドウの房(クラスター)のように塊になっていると考えられています。これは学会でも認められている認識です。しかし、そのクラスターの大きさについては測定する手段がありません。それを知リながら、いまだにPRに使っている業者があります。

常識でとらえると、「粒子が小さいほうが吸収されやすい」というのは、確からしく思えます。しかし小さいかどうかを見きわめることは、いまのところできないのです。

そして、当然のことながら、クラスターの小さい水が細胞に吸収されやすいかどうかは不明で、健康によいかどうかも明らかになっていません。 

あたかも正しい科学で立証されているかのように思わせる手口です。

「このリンゴは四角いので健康にいい」程度の論理ならばおかしいことは明白ですが、科学的な理論をもちだされると惑わされてしまいます。波動水、遠赤外線処理水、電気石(トルマリン)処理水、磁化水などがいい例です。

科学的な理論は、専門家でも自分の専門以外はわからないものです。ですから、そのような用語にぶつかったら、わかる人に聞くしかありません。巻末に紹介した国の相談窓口を利用するのがもっとも無難かもしれません。また、「水商売ウォッチング」というサイトは、水にまつわる商売、つまり浄水器などの製造・販売について、科学的な間違いや矛盾のある実例をあげていますので、参考にしてください。 

まだ仮説の段階であったり、解明や実証が不十分の状態なのに、あたかも立証されているかのように説明して販売するものもあります。磁化水、πウォーター、活性水素水などでこのような手口が見られます。

たとえば、活性水素は病気や老化の原因となる活性酸素を抑えるとして、健康になる、治療できる、老化を防げるなどと宣伝されています。

たしかに、活性酸素を抑える物質の一つとして活性水素が考えられています。試験管レベルの試験で活性水素が活性酸素を抑えることが学会で発表されていますが、仮説の段階であり、まだ学会で認められているわけではないし、効果や安全性についても研究が始まったばかりです。 

 「マイナスイオン」「酸化還元」などの科学用語を並ぺで、科学的にすぐれていることをイメージさせる手口です。浄水器は科学用語や技術用語を用いないと説明できないこともありますが、用語を並ぺで意味不明のイメージをつくることだけを狙ったものもあるのです。

たとえば、特殊ろ材の働きの説明で「合金フィルターには200ミリボルトの自然体の電流が流れであり……」とあります。「ボルト」は電圧、電位差の単位で、電流の単位は「アンペア」なので、意味不明。「自然体の電流」も意味不明です。科学用語を並べただけで、まったく内容が
ありません。

ただ、このような用語を並べられると、慣れていない人は「なんだかわからないけど、ものすごくいいものではないか」という期待を抱きがちなのです。 

カートリッジの交換までの年数が5年、7年、10年などと通常の浄水器と比ぺで著しく寿命が長い浄水器があります。これらの浄水器のなかには、一日平均使用量を小さく想定して交換年数を長くしているものもあります。

カートリッジ交換の目安はつぎのようにして決められています。除去物質に対して何L浄水処理できるか(ろ過能力)は、ろ材の質や量などで決まってしまいます。そして1日平均何L使用するかを想定して、交換目安の日数を計算します。たとえ11000Lの浄水処理能力がある場合、1日平均30L使用を想定すると、交換目安の日数は367日になり、カートリッジ交換の目安の表示は12か月、または1年となります。

この1日平均使用量を15Lと想定すると、733日となり、交換の目安の表示は24か月または2年となります。つまり、1日平均使用量の想定しだいでカートリッジ交換の目安表示をいくらでも変更できるわけです。

15~30 Lの範囲に想定しているメーカーが多いようですので、これより極端に少ない使用量を設定している浄水器には、注意が必要です。